口の中の金属 ~アマルガム~
歯科治療に用いられる材料の主な条件としては、
・精密に加工でき物理的強度が高いこと、
・体に害を及ぼさない事(生体親和性)、
・口腔内の劣悪な環境に耐えうること(耐腐食性)などが挙げられ、
れらを満たす歯科用金属は現代の歯科治療において多用される材料であり、歯冠修復や義歯など用途に合わせて様々な種類の金属が存在します。
その中で最近はめったに使われなくなったアマルガム(合金の粉末と水銀を混ぜたもの)という金属があります。
使われなくなってきた理由として、水銀の口腔内での蒸気暴露による毒性の問題、審美性や強度に優れたコンポジットレジンの台頭、アマルガム修復に関する歯学教育の減少等が挙げられます。何より日本歯科医師会もアマルガム修復の廃絶をすすめています。
アマルガムの二次カリエス症例。アマルガムは除去時にも体内に入らないよう様々な配慮が必要です。
コンポジットレジンによるダイレクトボンディング。
水銀の毒性で有名なのは水俣病ですね。
アマルガムで使用されている水銀は無機(金属)としての水銀であり、とくに他の金属と混ざり合った状態ではきわめて安定したものと言われています。水俣病で原因となった水銀は、工場廃水に含まれた有機水銀(メチル水銀)です。これを、魚介類を介して住民が摂取し、住民の多くに水銀中毒による障害を引き起こしました。
妊婦さんが生魚を避けた方がいい理由に、マグロなどの小魚を食べる魚には水銀が多く含有されているのも理由の一つです。
体内に取り込まれた水銀は代謝され、主に便や尿、汗などにより体外に排出されますが、ストレスや加齢により排泄機能が低下すると体内に蓄積され、健康に害を及ぼすことも懸念されます。