前歯のダイレクトボンディング
自然界や歴史建造物、美術品やグラフィックデザインなどで人が美しいと感じる黄金比が存在することは広く知られています。
フィボナッチ数列:0,1,1,2,3,5,8,13,21,34,55,89……
隣り合う数字の比は1:1.618と黄金比に近似します。上の図のらせん構造は自然界に存在する、あらゆるらせん構造に一致するといわれています。
apple社のロゴをはじめとする多くのグラフィックデザインにも利用されており、こばり歯科のロゴにもこの比率が考慮されています。
実は歯科においても歯の大きさの比率には黄金比があるといわれ、審美治療の際に歯の形や大きさの指標の一つとして参考にすることがあります。
さて、今回は前歯のダイレクトボンディングの紹介です。
上顎 前歯部の審美障害で来院された患者様です。歯の本数や不良充填物、色調など問題点はたくさんあります。
これらの改善のためにはクラウン(冠せ物)の選択肢もありますが、ラミネートべニアというネイルのようにセラミックを貼り付ける方法やダイレクトボンディングは歯質の削除量を最小限に抑え、アンテリアガイダンスの保護もできる有用な方法です。
歯の大きさの割合なども考慮しながら、模型上でシミュレーションします。
もともとの充填物を除去し、シェードテイキング。使用するコンポジットレジンはGCのエッセンシアにしました。
エッセンシア用にカスタムで製作したシェードタブ(カスタムアイ)を使用。患者様は白くするよりもエイジングや下顎前歯との調和を希望されDD/LEダークデンティン・ライエナメルに決定。
術前
術後
GCのエッセンシアが柔らかいのは、インスツルメントではなく筆で賦形するのが主流の欧米の先生たちのリクエストらしく、私も練習中です…。
私はダイレクトボンディング治療においては、奥歯(臼歯部)を得意としています。
臼歯部に比較すると色合わせや形態に関して審美的な要素を考慮しなければならない前歯部は難易度が高めですが患者様に満足いただけるよう日々精進したいと思います。